インプラントの寿命について
2021.11.02更新
●一般的な寿命は?
インプラントの平均寿命は10~15年と言われています。
厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療のための Q&Aによれば、インプラントを10~15年残せる確率は、上あごで約90%程度、下あごで94%程度。また、抜歯直後に埋め込んだ場合や、骨移植を伴った埋め込みの場合は87~92%程度という調査結果になっています。
(参照:歯科インプラント治療のためのQ&A 01-02.pdf (mhlw.go.jp))
約90%の方が、約10~15年たってもインプラントを使い続けています。
●半永久的に使用した例があります
世界で初めてインプラント治療を受けた患者さんは、34歳の時にインプラント手術を行ってから、亡くなる75歳までの41年間、問題なく使い続けたと言われています。
個人差はありますが、インプラントを埋め込む土台となる骨が健全に保たれ、しっかりとしたケアやメンテナンスができていれば、半永久的に使い続けられる可能性もあるのです。
●寿命をのばして長持ちさせる方法
インプラントを長持ちさせる方法について見ていきましょう。
・歯周病を防ぐ口内管理
インプラント自体はむし歯にはなりませんが、特に注意したいのが歯周病です。
歯周病によってインプラントを支えている骨が痩せてしまったり、噛み合わせのバランスが悪くなったりして、インプラントの寿命が短くなります。
また、歯周病が続くと、インプラントの周りの組織が感染する「インプラント周囲炎」につながる恐れがあります。自覚症状が出にくく、重症化しやすいので注意が必要です。
毎日の歯磨きを丁寧に行い、歯垢が残らないようにしましょう。
・あごの骨を健全に保つ
インプラントを支えているあごの骨を健全に保つために、栄養バランスのよい食生活を心がけましょう。
骨の形成に役立つカルシウムは、ビタミンDと同時に摂ることで吸収率が高まります。歯ぐきのためには、タンパク質やビタミン全般の摂取が効果的です。
また、骨が弱ってしまう骨粗鬆症や糖尿病にならない健康な体作りも大切です。
・信頼性の高いメーカーを選ぶ
インプラントにはさまざまなメーカーがあります。
価格の安さだけで飛びつかず、世界的に知られていて、保証もしっかりしているメーカーを選びましょう。安全性や信頼性も高く、インプラントの長い寿命が期待できます。
・喫煙しない
喫煙は、粘膜に炎症が起こりやすく、手術した部分が治りにくい可能性があります。
歯周病になる確率も高く、インプラントが骨に定着しにくくなることもありますので、歯科医の指示に従って、禁煙しましょう。
・歯ぎしりや食いしばりに気を付ける
インプラントを支えているあごの骨に強い負荷がかかってしまうので、インプラントが揺れてくることがあります。マウスピースを使用して、負担を防ぐとよいでしょう。
●ホームケアに役立つアイテムをご紹介
インプラントを長持ちさせるために、ホームケアをしっかりと行い、歯周病を予防しましょう。
歯ブラシ1本だけでは、歯磨き不足になりがちです。全体の60%程度しか歯垢を掃除できないと言われていますので、デンタルフロスなどの補助アイテムをプラスしましょう。
<ホームケアに役立つアイテム>
・歯間ブラシ
ワイヤーにナイロンの毛が巻き付いている小さなブラシです。歯と歯の間にできた隙間の清掃に適しています。
歯間部に挿入し、数回往復させて汚れを落とします。
・デンタルフロス
極細のナイロンの糸を束ねたものです。歯と歯のすき間の汚れを落とすのに有効です。長さを調節して使用できる糸巻き型と、持ち手がついたホルダー型があります。
歯の噛む面から歯間部に入れて、歯の根元から汚れを擦り上げるようにして使用します。
・タフトブラシ
歯ブラシの毛先がひとつにまとまっている1本のブラシです。歯並びの悪い部分や奥歯など、通常の歯ブラシでは届きにくい場所が磨けます。
ペンを持つように握り、軽い力で小刻みに動かして汚れを掻き出してください。
●定期的にプロによるケア・メンテナンスを受けましょう
ホームケアだけではお口の中の汚れを落としきれず、歯に蓄積している場合があります。
定期的に歯科医院でプロによるケア・メンテナンスを受けることをおすすめします。
<歯科医院でのケア・メンテナンスの内容>
・お口の全体チェック
歯、歯ぐき、粘膜の炎症やインプラントに破損がないか確認。
・レントゲン撮影
目視では確認できない内部のチェック。インプラントや天然歯の周囲の骨の状態を確認。
・噛み合わせのチェック
噛み合わせのバランスを確認し、不具合があれば調整します。
・インプラント接合部分や口内全体のクリーニング
専用の器具を使用し、普段の歯磨きでは取り切れない歯垢を取り除きます。
・ブラッシングの指導
汚れが付きやすい場所の磨き方をアドバイスし、セルフケアの質が高まるお手伝いをします。
このように、インプラント治療後の定期的な歯科医院の受診は欠かせません。患者さんのお口の変化を見逃すことなく、早期治療につながります。
そうすることで、インプラントやお口の中を良好な状態に保つことができます。
毎日のホームケアをしっかり行い、歯科医院での定期的なケア・メンテナンスの両方を継続することで、インプラントの寿命をのばすことができると言えるでしょう。
長く快適に使っていただけるよう、患者さんのお口に合ったメンテナンスを行いますので、ご相談にお越しください。
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